「基本給193,600円」
——私が新卒で入社した会社の求人票には、そう書いてありました。
入社して最初の給料日。
明細を開いて、目を疑いました。
基本給の欄にあったのは、122,700円。求人票より7万円も低い数字でした。
慌てて求人票を引っ張り出して見比べました。
間違いなく「基本給193,600円」と書いてある。
では、この差は何なのか。
明細をよく見ると、答えはそこに並んでいました。
営業手当、資格手当、調整手当
——細かい手当を全部足すと、ぴったり193,600円になる。
求人票の「基本給」は、本当の基本給に手当を寄せ集めた数字だったんです。
「基本給が低くて、手当が多い」給与には、入社してからじわじわ効いてくる実害があります。
私の場合、それを一番思い知ったのは賞与でした。
この記事では、求人票を鵜呑みにして入社した私の実体験をもとに、次の3つのことをお話しします。
📋 この記事を読むメリット
- 求人票の「基本給193,600円」の正体と、手当の寄せ集めのからくり
- 基本給が低い給与で、実際に何が起きたのか(賞与・昇給・退職金への実害)
- 求人票の基本給・手当欄の見抜き方と、入社前に中身を確かめる方法
これから求人票を見るあなたが、当時の私と同じ後悔をしないために。
すべて実体験を書いていきます。
求人票の「基本給193,600円」は、手当の寄せ集めだった【私の実体験】
大学に届いた求人票を、疑う理由がなかった
まず、私がその求人票と出会った経緯からお話しします。
その会社は、私の通っていた大学に直接求人票を持ってきた企業でした。
条件に合う学生がいないか、採用担当者が大学まで足を運んで営業に来ていて、会社説明会も学内で開かれた。
大学を通して届いた求人票に、嘘が書いてあるなんて、当時の私は考えもしませんでした。
しかも、そのときの私には、求人票を疑う余裕そのものがありませんでした。
新卒の就活で、私は最終面接まで進んだ10社すべて連続で落ちています(内定自体は4社ありました)。
10社連続で最終面接に落ちたその時期は、持ち駒が尽きて、就活の時期としても出遅れて、焦りだけが積み上がっていた。
そのうえ私が譲れなかった「地元で、転勤がない」という条件に合う企業は、そう簡単には見つかりません。
そこに現れたのが、この会社でした。
地元で、転勤がなくて、求人票の基本給は193,600円。
「もう、ここしかない」
——そう思って、入社を決めました。
求人票の数字を、一度も疑わないまま。
初任給の明細で知った「本当の基本給」
入社して最初の給料日。明細の基本給の欄には、122,700円とありました。
求人票の193,600円とは、7万円以上の差があります。
最初は事務処理のミスかと思いました。
でも明細を見ていくと、基本給の下に手当がずらっと並んでいたんです。
| 明細の項目 | 金額 |
|---|---|
| 基本給 | 122,700円 |
| 営業手当 | 33,700円 |
| 資格手当 | 21,000円 |
| 調整手当 | 16,200円 |
| 合計 | 193,600円 |
全部足すと、ぴったり193,600円。
求人票に「基本給」として書かれていた数字は、本当の基本給に3つの手当を寄せ集めた合計額でした。
ここで一つ、決定的におかしな点があります。
手当の中に「資格手当:21,000円」があるのに、入社したばかりの私は、その手当に対応する資格を一つも持っていませんでした。
何の資格に対して払われているのか分からない手当が、2万円分。
手当の名前は、実態を表しているとは限らない
——基本給を低く見せて総額を大きく見せるために、それらしい名前の手当で数字を埋めていただけだったんです。
つまり、求人票が完全な嘘だったわけではないんです。
「基本給等」「月給」と読み替えれば、金額そのものは合っている。
でも、新卒の私に「基本給」と「基本給+手当の合計」の違いを見抜く知識はありませんでした。
そして、この違いこそが、あとから効いてくる本当のからくりでした。
私だけの勘違いではなかった
「自分の読み間違いかもしれない」と思った時期もあります。
でも、そうではありませんでした。
私より数年早く入社していた先輩も、同じ矛盾に気づいていて、「この求人票の書き方はおかしい」と、当時の求人票をずっと証拠として持っていたんです。
入社した人間が代々同じ違和感を抱く給与構成
——それがこの会社の「基本給」でした。
求人票を鵜呑みにして、確認もせずに入社を決めた。
あのとき私は、自分の価値を自分で妥協したんだと思います。
焦っていたとはいえ、たった一つ「この基本給の内訳は何ですか」と聞いていれば、分かったことでした。
では、基本給が122,700円だと、何が起こるのか。
私がそれを本当に思い知ったのは、入社して最初の賞与でした。
「基本給が低い・手当が多い」給与で、実際に起きたこと
基本給が122,700円だと知ったとき、正直、最初はそこまで深刻に受け止めていませんでした。
「手当を合わせれば193,600円もらえるなら、名前が基本給でも手当でも同じでは?」と思ったんです。
その考えが甘かったと思い知るまで、そう時間はかかりませんでした。
基本給は、月々の給料だけの話じゃない。
賞与も、昇給も、退職金も、すべて「基本給をいくらに設定するか」で決まっていく。
手当をどれだけ盛っても、これらの計算には一切効いてこないんです。
順番に、私に起きたことを書きます。
賞与|「4ヶ月分」の正体は、期待の半分以下だった
求人票には、賞与「4ヶ月分」と書いてありました。
新卒の私は、単純にこう計算しました。
求人票の基本給は193,600円。
その4ヶ月分なら、年間で約77万円のボーナスがもらえる——と。
現実は、まったく違いました。
入社した年の夏(7月)の賞与は、総支給で17万円の寸志。
これは入社初年度だから少ないのは分かります。
問題は冬でした。
満額出たはずの12月の賞与が、総支給で26万円ちょいだったんです。
なぜか。
賞与の「4ヶ月分」は、求人票の193,600円ではなく、本当の基本給122,700円が基準だったからです。
| 求人票を信じた期待値 | 現実 | |
|---|---|---|
| 基準になる金額 | 193,600円(基本給表記) | 122,700円(本当の基本給) |
| 賞与4ヶ月分の年額 | 約77万円 | 約49万円 |
| 差額 | — | 約28万円マイナス |
122,700円の4ヶ月分は、約49万円。
求人票を信じて期待していた77万円とは、年間で約28万円もの差がありました。
手当を寄せ集めて基本給を大きく見せた"つけ"は、月給ではなく、この賞与で牙をむいたんです。
「基本給が低くて、手当が多い」
——この給与構成の一番怖いところは、ここです。
月々の総支給額を見ているうちは、差に気づけない。
差がはっきり数字になって現れるのは、基本給を基準に計算される賞与のときなんです。
昇給・退職金|低い基本給は、ずっと足を引っ張り続ける
基本給が低いことの実害は、賞与だけで終わりませんでした。
昇給も、基本給がベースです。
私のいた会社の昇給は、1年で1,000円ほど。
もともとの基本給が低いところに、この昇給幅ですから、何年働いても基本給はほとんど動きませんでした。
基本給が低い状態からのスタートは、その後の伸びしろまで削っていくんです。
そして退職金。
私はこの会社に5年半勤めて退職しましたが、受け取った退職金は、手取りで30万円もありませんでした。
退職金の算定も、多くの場合は基本給が基準です。
低い基本給で5年半を過ごせば、退職金もそれに比例して低くなる。
「手当が多いから総支給は悪くない」という見かけの裏で、こうした"基本給連動のもの"が、静かに全部削られていました。
「手当が多い=お得」ではない。むしろ逆
ここまでの内容をまとめます。
基本給を低く設定して手当で総額を膨らませる給与構成は、働く側にとって、こういう構造になっています。
- 月給:総支給は求人票どおり → 一見、問題なく見える
- 賞与:低い基本給が基準 → 求人票の期待の半分以下になりうる
- 昇給:低い基本給が基準 → 上がり幅も小さくなる
- 退職金:低い基本給が基準 → 長く勤めても積み上がらない
手当が多いこと自体は、悪ではありません。
問題は、手当で膨らませた数字を「基本給」として求人票に載せ、本当の基本給を隠していることです。
求人票の「基本給」を鵜呑みにすると、月給以外のすべてで、じわじわと損をしていく。
私はこれを、入社してから数年かけて、身をもって知りました。
あなたには、求人票の段階で見抜いてほしい。
次のセクションで、その具体的な見方をお話しします。
求人票の「基本給」と「手当」欄は、ここだけ見れば見抜ける
私が身をもって学んだのは、求人票の給与欄は「金額の大きさ」ではなく「内訳の書き方」を見るということでした。
当時の私がたった3つのポイントを知っていれば、あの求人票のからくりは見抜けたはずです。
基本給と手当の欄に絞って、具体的にお話しします。
① 「基本給」と「月給」「基本給等」は、まったく別物
一番大事なのがこれです。求人票の給与欄には、いくつかの書き方があります。
- 基本給 ○○円:手当を含まない、純粋な基本給
- 月給 ○○円 / 基本給等 ○○円 / 月額 ○○円:手当を含んだ合計額のことが多い
私の求人票は「基本給193,600円」と書かれていましたが、実態は手当込みの月給でした。
今なら分かります。
「基本給」と書いてあっても、その金額が手当込みの総額を指しているケースがある。
だから金額の下や欄外に、「※営業手当・調整手当等を含む」といった注記がないかを必ず確認すべきでした。
注記があれば、その金額は純粋な基本給ではありません。
見分け方はシンプルです。
「この金額に、どの手当が含まれているのか」を求人票の中から探す。
それが明記されていない、あるいは基本給と手当が分けて書かれていない求人票は、内訳を疑ったほうがいい。
② 手当の「名前」と「金額」を分けて見る
私の明細には、資格を持っていないのに「資格手当21,000円」が付いていました。
手当の名前は、実態を保証しません。
求人票で手当を見るときは、「その手当は、条件を満たさなくてももらえるのか、それとも自分が対象になるのか」を考えます。
- 固定でつく手当(調整手当・一律手当など):実質、基本給の一部。名前が違うだけ
- 条件つきの手当(資格手当・役職手当・住宅手当など):自分が条件を満たさなければ、もらえない
怖いのは、求人票の給与額に「条件つき手当」が最初から足し込まれているケースです。
「この手当は誰にでも付くのか?」を確認しないと、入社後に「その手当、あなたは対象外です」となって、提示額を下回ることすらあります。
③ 賞与は「◯ヶ月分」の"何の"◯ヶ月分かを確認する
私が一番痛い目を見たのが、これでした。
求人票の賞与「4ヶ月分」は、手当込みの193,600円ではなく、本当の基本給122,700円が基準でした。
賞与や退職金は、ほぼ必ず「基本給」を基準に計算されます。
だから基本給が低く設定されていると、「◯ヶ月分」の数字が同じでも、実際の金額はごっそり少なくなります。
求人票で賞与を見たら、こう考えてください。
「この◯ヶ月分は、手当込みの月給の◯ヶ月分ではなく、本当の基本給の◯ヶ月分だ」と。
そのうえで、本当の基本給がいくらなのかが求人票から読み取れない場合は、それ自体が黄色信号です。
求人票全体の見抜き方は、別の記事にまとめました
ここまでは「基本給と手当の欄」に絞った見方です。
でも、実際に転職で年収を上げるには、給与欄だけでなく、実働労働時間・年間休日数・転勤の有無まで含めて、求人を「時間あたりの価値」で見る必要があります。
私が残業140時間の会社から、残業30時間台・年収250万UPの会社へ移れたのは、求人票のどこを見て「高条件求人」を見抜いたのか。
その全体像は、別の記事で詳しく公開しています。
▶【関連記事】20代・転職年収アップ体験談|交渉ゼロで350万→600万。年収は「求人選び」で9割決まった
給与・実働時間・休日・転勤——「高条件求人」を見抜いた具体的なチェックポイントを、実体験で公開しています。
基本給と手当の見方(この記事)と、求人全体の見方(関連記事)。
両方を持って求人票を読めば、私と同じ後悔はしなくて済みます。
ただ——ここまで読んで、気づいた方もいるはずです。
求人票をどれだけ丁寧に読んでも、「本当の基本給がいくらか」が書かれていなければ、外からは分からない。
次のセクションで、その"最後の壁"をどう越えるかをお話しします。
手当の中身と賞与算定は、入社前に確かめられる
ここまで読んで、こう思った方がいるかもしれません。
「見抜き方は分かった。でも、本当の基本給が求人票に書いていなかったら、結局どうすればいいの?」と。
その通りなんです。
求人票をどれだけ丁寧に読んでも、「基本給193,600円のうち、いくらが本当の基本給で、いくらが手当なのか」が書かれていなければ、外からは判断できません。
私が新卒のときにつまずいたのも、まさにここでした。
面接で「基本給の内訳は?」とは、聞きにくい
一番確実なのは、企業に直接聞くことです。
「この基本給の内訳を教えてください」
「賞与は本当の基本給の何ヶ月分ですか」と。
でも、これが実際にはとても聞きにくい。
選考の途中で、まだ内定も出ていない相手に、お金の内訳を細かく問い詰めるのは、印象を悪くしないか不安になります。
私自身、新卒のときはそんな質問を思いつきもしませんでしたし、仮に思いついても、口には出せなかったと思います。
「お金にうるさい人」と思われて、選考に響くのが怖い
——この心理が、多くの人に確認をためらわせます。
この「聞きにくい確認」を、代わりに頼めるのがエージェント
私が転職活動をしたときに実感したのが、この"聞きにくいこと"こそ、転職エージェントの出番だということでした。
エージェントは、応募者と企業の間に立つ存在です。
だから、応募者本人が直接聞きにくい条件面
——基本給の内訳、手当の中身、賞与が何を基準に計算されるのか
——を、担当者に確認を依頼できます。
しかも、内定前の段階で。
新卒のときの私に一番足りなかったのは、この「入社前に、条件の本当の中身を確かめる手段」でした。
あのとき求人票の「基本給193,600円」を鵜呑みにして妥協した私が、転職活動では二度と同じ失敗をしないと決めていた。
そのために、まず自分に届く求人の水準を知り、気になる条件は登録したサービス経由で確認する
——この動き方を徹底しました。
結果として、年収を250万円上げる会社に出会えたんです。
まずは登録して、自分に届く求人の"中身"を見てみる
転職エージェントの中でも、求人数が多く、条件面の確認を頼みやすかったのがリクルートエージェントでした。
登録は無料で、まず「今の自分にどんな求人が届くのか」が分かります。
そのうえで、気になる求人があれば、求人票だけでは読み取れない基本給の内訳や賞与の算定基準について、担当者に確認を依頼できる。
求人票の「基本給」に一度騙された私だからこそ、これから転職する人には、この確認手段を使ってほしいと思います。
登録3分完全無料
求人票だけでは読み取れない基本給の内訳や賞与の基準も、担当者に確認を依頼できます
▶ リクルートエージェントで求人の"中身"を確かめてみる(無料登録)私が登録後に無理な勧誘を受けたことは一度もありませんでした。
まとめ|求人票を鵜呑みにした私が、転職で妥協をやめた話
最後に、この記事の要点をまとめます。
私が新卒で入社した会社の求人票には「基本給193,600円」と書いてありました。
でも本当の基本給は122,700円で、残りは営業手当・資格手当・調整手当の寄せ集め。
持ってもいない資格に「資格手当」が付くような、名前だけの手当でした。
そして、基本給を低く見せる給与構成の実害は、月給ではなく、あとから効いてきました。
- 賞与:「4ヶ月分」は本当の基本給122,700円が基準。求人票を信じた期待の半分以下
- 昇給:低い基本給がベースだから、上がり幅も小さい(1年で1,000円ほど)
- 退職金:5年半勤めて、手取りで30万円未満
「手当が多いから総支給は悪くない」
——その見かけの裏で、基本給を基準に計算されるものが、静かに全部削られていたんです。
求人票で基本給と手当を見るときのポイントは、3つでした。
- 「基本給」と「月給・基本給等」を区別する(手当込みの総額を基本給のように見せていないか)
- 手当の「名前」ではなく「誰でももらえるのか」を見る
- 賞与・退職金は「本当の基本給の◯ヶ月分」で考える
そして、求人票だけでは本当の基本給が分からないときは、登録したエージェント経由で、内訳や賞与の基準の確認を依頼できる。
新卒のときの私に一番足りなかった手段です。
「妥協しない」と決めたことが、年収250万UPにつながった
私はあの求人票のからくりを、入社してから数年かけて思い知りました。
焦って、確認もせず、「もうここしかない」と自分の価値を妥協した
——その後悔が、転職活動のときの私を変えました。
求人の条件は、一つも妥協しない。
基本給の内訳も、残業の実態も、休日も、転勤の有無も、納得いくまで確認する。
その姿勢で18ヶ月かけて選んだ会社で、私は年収を350万円から600万円へ、残業を140時間から30時間台へと変えることができました。
求人票の「基本給」に一度騙された経験は、正直、当時は最悪の失敗でした。
でも、その失敗があったから、転職では妥協せずに条件を見極められた。
今そう思えています。
これから求人票を見るあなたには、当時の私と同じ後悔をしてほしくありません。
基本給と手当の内訳を、どうか鵜呑みにしないでください。そして、求人票だけでは分からない部分は、確認できる手段を使ってください。
登録3分完全無料
自分に届く求人の水準や、求人票だけでは読み取れない条件の内訳を、登録するだけで確認していけます
▶ リクルートエージェントで求人の"中身"を確かめてみる(無料登録)私が登録後に無理な勧誘を受けたことは一度もありませんでした。
【関連記事】